こだわり

題名は覚えていないが、星新一の作品を一昨年あたり数十年振りに読んだ。10年位前に最相葉月星新一全集を編纂した時に新潮社が月刊誌に特集を組んだ。

凡庸な50代位の男性があることにこだわり、人生をかけてさまよい続けるが、最後にそのこだわりを捨て、思い出を糧に生きるという話だ。

その当時は諦念感に驚き、そんな人間はいないと思った。
今は、そんな人間になった。彼と違うのは、これまでの過去が糧になる思い出じゃないという事だ。

諦念感だけが漂っている。
糧にしているとすれば、以前わたしを信用してくれた人がいるという事だ。

先日別れた友人は誰も信用出来ない人間だった。信用させることは得意だが、自分は誰も信用していない。そういう意味では孤独だ。非常に。

わたしも同じだ。誰も信用出来ない。だから、わたしを信用した彼女にこだわっているのだ。

これまで身を削ってわたしを信用してくれたのは二人だけだ。忘れる訳ないだろう。