分からせる
いま自分が端から見てどんなに愚かな事をしているか分からせるのは、
どんなに残酷なのだろう、と思うことがある。
少年事件で女子高生コンクリ殺人は有名だが、懲役を受けた少年のうち
一人は事の重大さを理解し、収監中に精神を病んだ。
勿論、酷いことをしたのだし、自分のしたことを理解することが更生への
第一歩だ。その是非ではなく、よく言われる、知らない方が幸せ、というものだ。
ああ、知らない方が良かった。こんなこと知らない方が良かった。
誰にも迷惑を掛けていないのだから、知らない方が良かったのに。
どうして分かってしまったんだろう。ずっと?のままの方が良かったのに。
毎日真っ白な新しい世界が開く方が良かったのに。
掟手上今日子の備忘録を見ながら感動していたのは、どんなに最悪な記憶でも
持っている自分は幸せだからだと思っていた。
違う。
過去に関係なく今日を精一杯生きる今日子に感動していたのだ。
分かったのは過去だ。明日がどんな日かなんて誰にも分からない。
生きろ。