ROSE

あれから随分たつ。

思い出なのか、何なのか分からない。

でも、長いお別れには違いない。

どうしても、ギムレットが飲みたくなった。

BARは遅くまでやってるので助かる。

雨は幸い上がっていた。

 

わたしはあの日、あの人の前から消えた。

 

カウンターにはサラリーマン風の二人組み、職業不明のニット帽とコートを着た男性が一人。

クッションが敗れたスツールに5分居ただろうか。

マスターは愛想の良いまだ若い人。もう少し寡黙な方が好みなのだが。

悪くはない。

 

時計を止めて